はじめに
アメリカで子育てをする際、家計への影響は非常に大きくなります。子どもの教育費や医療費、生活費など、多額の出費が予想されるためです。本記事では、アメリカでの子育て費用の実態と、それを軽減する工夫についてご紹介します。
教育費用
アメリカでは、教育費用が非常に高額になることが知られています。公立校と私立校、地域による差もありますが、おおむね以下のような費用が必要とされます。
幼児教育
幼稚園やプリスクールの費用は、月額で1,000ドル(約11万円)から2,000ドル(約21万円)とかなり高額です。一部の低所得世帯には助成金制度がありますが、中間所得層には大きな負担となっています。
また、有名私立園に通わせるための入園料や教材費なども別途必要となり、費用は更に高くなります。園の評判が良いほど費用は高額になる傾向にあります。
義務教育
公立の小中学校は基本的に無料ですが、良い学区の家が高値で取引されるため、住宅費用が大きな負担となります。また、学校の補修費や教材費など、別途費用がかかることもあります。
一方、私立校に通わせる場合は年間2万ドル(約220万円)から6万ドル(約660万円)の授業料が必要です。有名校ほど費用は高額になります。スポーツや課外活動の費用も別途かかります。
高等教育
州立大学でも年間授業料が1万ドル(約110万円)前後かかり、私立の有名大学では5万ドル(約550万円)以上の費用がかかります。医学部や法学部など、専門分野の費用はさらに高額になる傾向にあります。
多くの学生がローンを組んで大学費用をまかなっていますが、卒業後の返済負担は大きくなります。奨学金を得られる学生は恵まれていますが、競争は非常に激しくなっています。
医療費用
アメリカの医療費は世界で最も高額な部類に入ります。妊娠出産から子育て期間を通して、かなりの医療費がかかることが予想されます。
出産費用
アメリカでの出産費用は極めて高額で、普通分娩で平均11万ドル(約1,200万円)、帝王切開で17万ドル(約1,900万円)とされています。州や病院によっても大きな差があります。
出産費用の内訳を見ると、単に医療行為にかかる費用だけでなく、病室の利用料や備品代、さらには肌触れケアなど、思わぬ費目が請求されているのが実情です。
予防接種費用
アメリカでは、子どもの予防接種費用も保護者が全額負担しなければなりません。ワクチン代や医師の診察料を合わせると、1回の予防接種で200ドル(約2万円)程度の費用がかかります。
予防接種は幼少期に集中して受ける必要があるため、この費用は子育て初期の大きな負担となっています。一部の州では助成制度がありますが、対象が限られています。
医療保険
医療費の高額化を補うため、医療保険への加入が不可欠となっています。保険料も年間1万ドル(約110万円)程度と高額です。
しかし、保険でカバーされる範囲は限られており、自己負担分が発生することも多くあります。治療内容によっては数万ドルの自己負担となることもあり、保険加入者の経済的な負担は小さくありません。
生活費用
子育てに伴う生活費の増加も、アメリカ在住家庭の大きな負担となっています。特に食費や住宅費、交通費などに大きな負担がかかります。
食費
アメリカの食料品は値が高く、家族4人世帯の月間食費は平均800ドル(約8万8千円)とされています。外食費を含めるとさらに高額になります。
一方で、低所得世帯向けに食料支援制度(SNAP)があり、毎月の食費を一定額補助してくれます。収入によっては無料で食料を受け取れる場合もあります。
住宅費
アメリカの住宅事情は州や地域によってかなり差があります。中西部の一般的な郊外では、持ち家3LDKの家賃相当額は月額1,500ドル(約16万5千円)前後です。
一方、ニューヨークやサンフランシスコなどの人気都市部では、同程度の広さの住居で家賃4,000ドル(約44万円)以上という事例もあり、住居費への負担が重くのしかかっています。
交通費
アメリカでは車が必需品とされています。自動車購入費や燃料費、自動車保険料など、交通関連の費用は年間1万ドル(約110万円)以上とされています。
都市部では公共交通機関を利用することもできますが、ベビーカーを置く場所の確保や乗り換えの手間など、子連れでの利用は容易ではありません。
地域による違いと工夫
このようにアメリカでの子育て費用は高額ですが、地域や家族の工夫によって、費用を抑えることも可能です。
地域による違い
ニューヨークやサンフランシスコなどの人気大都市に比べ、テキサスやアリゾナ州などの中西部では、全体的に子育て費用が安くなる傾向にあります。住宅費や食費が安価なことが大きな理由です。
日本人コミュニティが大きい地域では、子供向けの習い事の費用が比較的安価になっていることも特徴的です。サンディエゴやシアトルでは、日本人によるピアノ教室やサッカークラブ、算数教室が充実しています。
お金をかけない工夫
子供を屋外で遊ばせるなど、できるだけお金をかけずに過ごす時間を作ることも重要です。アメリカには多くの無料で利用できる自然公園やレクリエーション施設があります。
また、図書館の活用なども有効な手段です。本の貸し出しに限らず、DVDの無料視聴や室内イベントの開催など、子供の教育機会を無償で得られるプログラムが豊富です。
コミュニティーの活用
同じ地域の子育てママ達とコミュニティを形成し、情報交換やグループ割引を受けるなど、お互いに助け合うことも重要な工夫の一つです。
Facebook などのSNSグループを活用すれば、子供服やおもちゃの中古品を安価で譲り受けたり、ママ手作りのお菓子を販売したりと、コミュニティ内で経済的な融通を図ることができます。
まとめ
アメリカで子育てをする際の費用は非常に高額になることがわかりました。教育費、医療費、生活費のすべてにおいて多大な費用がかかり、家計を圧迫しています。
しかし、地域による違いを意識したり、無料で利用できる施設を活用したり、コミュニティーを形成したりすることで、費用を抑える工夫もできることが分かりました。慎重な家計管理と創意工夫が求められますが、愛情を注ぎながら子育てを楽しむことが何より大切だと言えるでしょう。
よくある質問
アメリカでの子育て費用はどのくらいかかるのですか?
アメリカの子育て費用は非常に高額で、教育費や医療費、生活費など多大な出費が予想されます。教育費では幼稚園から大学まで数十万ドルかかり、出産費用も平均11万ドル以上とされています。加えて食費や住宅費、交通費などの生活費の増加も大きな負担となります。
アメリカの地域によって子育て費用は違うのですか?
はい、地域によって子育て費用に大きな違いがあります。人気大都市部のニューヨークやサンフランシスコでは住宅費が高いのに対し、テキサスやアリゾナ州の中西部地域では住宅費やその他の生活費が比較的安価です。また、日本人コミュニティの多い地域では習い事の費用が低めになることもあります。
子育て費用を抑えるための工夫は何がありますか?
子育て費用を抑えるには、無料で利用できる公園やレクリエーション施設の活用、図書館の利用、コミュニティ内での情報共有や中古品の交換などが有効です。地域の特性を理解し、創意工夫しながら費用を最小限に抑えていくことが大切です。
子育て費用の高さにもかかわらず、子育てを楽しむことはできるのでしょうか?
はい、適切な家計管理と創造的な工夫を行えば、子育て費用の高さにもかかわらず、子育てを愛情を持って楽しむことができます。教育や医療、生活面での膨大な費用はありますが、無料の施設の活用やコミュニティの活用など、様々な方法で経済的な負担を軽減することができます。
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